ご挨拶
平成30年度より、仲谷達也前会長のあとをうけて大阪透析研究会会長に就任いたしました武本佳昭です。大阪府下では2万数千名の患者さんが透析療法を受けており、300施設近くの透析施設が稼働しております。この多くの患者さんの透析療法の質及び患者さんのQOL維持に大きな役割を果たしている大阪透析研究会会長にご指名頂き、身の引き締まる思いです。また、仲谷達也会長、西澤良記会長、岸本武利会長、故前川正信会長が本会の発展に大きく貢献され、現在のような大阪透析研究会を築かれたことを考えると責任の重さを感ぜずにはいれないのが現在の心境であります。
人工透析研究会(日本透析医学会の前身)が昭和43年に設立され、年2回の総会を行い、同時に統計調査が実施しされていました。統計調査の結果は総会ごとに報告されていましたが、昭和47年の幹事会の席上で大阪の透析療法の普及率が低く、透析の成績が悪いことで故前川先生が他の幹事の先生に糾弾されたとのことを大阪透析研究会25周年記念誌で述べられておりました。そこで、故前川先生が大阪透析研究会を設立する他はないと考えて当時大阪で透析療法を施行されていた各大学の教授を説得され、各教室から代表として役員になっていただき大阪透析研究会が発足したとのことです。第1回学術集会が昭和49年3月17日(日)に故田村峯雄大阪市立大学医学部教授(当時)を大会長として開かれ、同大学病理学教室の藤本輝夫教授による特別講演「糸球体腎炎について」他、一般演題3題の学術発表の行われたことが史料から確認されます。現在まで大阪透析研究会は順調に発展を続けており、第39回の学術集会では参加者が1000名を超えるようになり、最近では参加者が2000名を超えるような日本でも最大規模の地方会に育っております。また、発足当時に他の幹事から揶揄された普及率についても東京都に次いで2番目の患者数になり、素死亡率も全国平均よりもよくなるところまで大阪の透析療法は進歩してきました。
本研究会は年2回定期的に会誌を発行していることも特筆すべきことと考えます。本会誌では毎回の学術集会で講演いただいた非常に高名な先生に総説を投稿していただいております。さらに会員の必要としている情報を特集という形やトピックスとして毎回企画しております。また、大阪府下の透析・腎移植実態調査毎年実施し、会誌に投稿しております。
このように、大阪透析研究会では大阪の透析にかかわるすべての職種が力を結集して種々の情報を発信するとともに透析患者さんのために日々研鑽していると思います。私はこのような、素晴らしい活動をますます発展させるために、皆様方の御協力を心よりお願い申し上げて、会長就任の挨拶とさせていただきます。